一覧図解で読む物語の世界(古事記編)

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ニニギ尊(みこと)の誕生

▮誓約(うけひ、うけい)の意味するところとは?

 

 古事記における「イザナ岐の禊(みそぎ)」が、その後の展開に大きくかかわる出来事とはいうものの、あまり目立ってはいないですが、その後の「誓約」(うけひ、うけい)が、私見ですが、一番大きなヤマのようにも思います。

 

ざっと、要点だけをいいますと、

スサノウは、母の国「黄泉の国」に行きたいとイザナ岐に頼みますが、黄泉の国での忌まわしい出来事に懲りたイザナ岐は、乱暴者でわがままなスサノウを追い出します。その後、天照ラスのところに行き邪心のないことを訴えますが、疑い深い天照ラスは、再び乱暴を働くのではないかと、なかなか信用しません。

そこで、スサノウは潔白を証明するために、神に祈り天意を問うことにしました。これが誓契(うけい)という方法。(天照ラスとスサノウが勝負することで誓いをたてるわけですが、コインの裏表で判定するような勝負の意味について、もう少し勉強せねばなりません)。

その勝負は、スサノウ、天照ラスの双方が新たな神を生み出して、男神を生んだ方が、勝ちという取り決めのようです。やがて、

 ●天照ラスは、スサノウの剣をかみ砕き、女3神。
 ●スサノウは、天照ラスの勾玉をかみ砕き、男5神。

を生み出しました。しかし、はてさてどちらが勝ったのか。

 

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種と畑の関係性のようなもので、

●スサノウの種が、天照ラスの畑にまかれ女神が生まれたので、それはスサノウの子
●天照ラスの種が、スサノウの畑にまかれ男神が生まれたので、それは天照ラスの子

と天照ラスは主張しますが、スサノウは納得しません。

 ●種がどうあろうと、スサノウの畑から男神が生まれたので、それは畑の所有者の子

とスサノウは主張します。

 

 結果的には、強引なスサノウの意見が通り、結果的に高天原に住むことを許される、というわけですね。この話は、その後の「天の岩戸」の物語に続いていきます。

とはいえ、天照ラスの子孫が、この後に降臨するという展開になので、物語としては、天照ラスの子として扱う必要性がでてこなければならないわけです。いろいろ、紐解いてきましたが、この「誓約」の物語の包装紙の紐は解けても、中の箱の紐は、固結びされているのか、歯が立ちません。この「あいまいさ」の意味するところは、時間がかかりそうなので、保留ということにしておきます。

 

▮ニニギ尊(みこと)の誕生 

 

 「誓契(うけひ、うけい)」で、天照ラスとスサノウは、結局のところどちらが勝ったのか定かではありませんが、表面上は、スサノウが勝ったのでしょう。彼は、高天原に住めることになりました。その後、物語は、スサノウとともに「出雲」へと展開していきます。また、「出雲」の物語では、天照ラスの「5神」の最後に生まれた「天ノホヒ」も登場するので、名前を憶えておくといいでしょう。

 

その前に、「ニニギ尊の誕生」に関して、押さえておかねばなりません。

この点については、おおむね把握したら、忘れてしまってもいいのですが、「あー、そういえば・・・」といった具合に、頭の片隅にあればよろしいか。

さて、「誓契(うけい)」により「天ノオシホ耳」という神が生まれました。「天ノオシホ耳」は「豊アキズシ姫」と結婚し、やがて「ニニギ尊」が誕生します。 この「豊アキズシ姫」は、実は「造化三神」の「高ミムス日」の神の子孫。この「高ミムス日」神には、「思イカネ」という子孫もいます。思慮深い神を表すための命名なのでしょう。「思イカネ」は、「天照ラス」を暗い洞窟から、引っ張りだすための案を考え出す、参謀のような役割で登場します。この話は、また後ほど。

 

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ニニギ尊(みこと)というと、高天原から、九州の「高千穂」に降臨する神(その末裔が「大和の国」に行くことになります)として、古事記では、必ず名前が出てきます。しかし、降臨するといっても、強引に押しかけるわけにもいきません。 ことを荒立てることなく降臨を実現させるためには、事前に、その地にすでに住んでいる人々に、お伺いを立てるのがいいと考えたのでしょう。

 その交渉場所が、出雲なので、降臨前に「出雲の国」の物語を確立しておかなければならない、というわけですね。 「誓契(うけい)」の後に、スサノウの起こした事件から、やがて「出雲の国」の物語が始まります。 結構、律儀というか、論理的な説明で、なにやら算数の証明問題のような気がしないでもないです。

 今回の記事での押さえは、「ニニギ尊の母方の祖先は、高ミムス日の神であり、父方の祖先は、天照ラスの神」であったということ。 だからどうしたって?・・・・・ まぁ、どうしたってことは、ないンですが。

 

古事記は物語なので、神の名前が多すぎるのは困りものですが、ストーリー性のある読み物としては、面白いのかもしれませんね。