一覧図解で読む物語の世界(古事記編)

知的好奇心あふれる世界の 複雑化した話を紐解き 図解でまとめます

「図解でまとめる技術」を活用した、工学系男子による、新たな学びの方法の研究サイト

一覧図で読み解く前に

アナログ発想の電子書籍「デジタル図版」

短所の対極にあるもの

いつも思うのですが、海外の人は、自分の国の歴史を、眼を輝かせて話します。しかし、私自身は日本人でありながら、自国の遠い祖先の話をよくは知りませんでした。学校で習ったにせよ、恥ずかしながら、ほとんど覚えていません。

断片的に知っていても、結局のところ日本神話の全体像をよく知らないンですね。そもそも、日本史については(世界史もそうですが)丸暗記が不得手であるため、あまり興味を持っていませんでした。それでも「イナバの白ウサギ」や「ヤマトタケルのオロチ退治」や「アマテラスの天の岩戸」の話はよく聞いたものです。

「そうだ、日本の神話を勉強してみよう!」といったところで、なかなか覚えられない。覚えても、揮発油のごとく、記憶が蒸発していってしまう。

幸いにも、職業柄(設計業)、図を描くのが得意だったので、読んでは図にまとめることにしてみたわけです。パソコンで図をかくようになってからは、ますます、その能力は向上しました。記憶力の悪さ、という短所が、図にまとめるという長所を引き出し、能力として備わったのでしょう。短所も捨てがたい能力といえます。

情報の構成について考える

さらに、これを方法論として、独自(多分)に考えたのが、複雑性を増す現代社会の情報を紐解き、一覧図という形にまとめる方法。

①不要な情報を捨て、必要な情報の関係性を繋ぎ概観する。

②さらに関係性が崩れないよう、もつれを紐解き一覧図にする。

③最後にヒエログリフ(絵文字)で物語を凝縮してしまう。

という方法です。

友人から「ギリシャ神話を教えて!」と求められました。「よく知らないけど、いろいろ読んでみるよ。」と答えたことを覚えています。早速、自分が面白いと感じる書籍を読みまとめてみました。結果として、以下のような一覧図ができあがりました。

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 全体的な物語を、想い出す(=忘れる)際には、ギリシャ神話は、ゼウスを中軸とした「王」という文字がよさそうです。内容の解説については、「ギリシャ神話を覚えて知力アップ(まとめる力を身につけよう)」を参照ください。

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「王」という文字の奥には、ギリシャ神話 という物語が隠されています。この文字を想い出せば、すぐさまギリシャ神話を解説できるというわけですね。

これまでは「忘れる」ことを恐れ、忘れないように、忘れないように、というプレッシャーの中で、必死に覚えたものです。しかし、いつでも「想い出す」ことができれば、情報が溢れる現代においては、「忘れた」方が、かえっていいのではないか、ということに気が付きました。その後、情報の引き出しが増えたように思います。

これからのデジタル図書

過去には、建築関連業界にて手書きの設計図書を書き、その後「CAD/CAM」(コンピューター支援による設計製造)ソフトのエンジニアとして業務に従事していました。黎明期のCADは、手書きで書かれた設計図面を「清書する」という感覚。その意味で、現代の「電子書籍」も、いうなれば書籍の「デジタル清書」のようにも思えます。 

 この形態の一覧図と、HTMLのクリッカブルマッピング機能により、これまでにない「電子書籍」......というより、アナログ発想の「デジタル図版」ができるものと、自分自身に期待しています。ギリシャ神話を多少なりとも勉強された方は、この一覧図で、物語の記憶がよみがえってくるのではないでしょうか。

しかし、これから勉強を始める方々には、この「デジタル図版」は、あまり役に立ちません。なぜなら、この「図版」は、本人が研究や勉強を実践した結果であり、残骸でもあるからです。この図版自体を作れるようになれば、複雑な関係性が増幅する現代社会を鳥瞰することができることから、より深い知識や知恵が培われるのではないでしょうか。新たな勉強方法として、提言したいところです。

 次回より、「古事記」について、解説していきたいと思います。

 *参考:「記号の歴史」ジョルジュ・ジャン(創元社)1994年